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ディズニープラスを10倍楽しむ!
2020.11.13
『ファイアボール』シリーズ最終章『ゲボイデ=ボイデ』配信開始!シリーズのあゆみ、あるいは勇み足。
おはようございまーす!
貴族の皆様、ご無沙汰しております。『ファイアボール』の歴代SNSを担当している、弊社「ファイアボール班」所属のハイペリオン岩田です。シリーズ最終章『ゲボイデ=ボイデ』がディズニープラスにて配信開始となりました。おめでとうございまーす!(ありがとうございまーす)
そこで、こちらディズニープラスのブログより、これまで制作現場に携わってきた私、ハイペリオン岩田プラスが裏話をまじえつつ、『ファイアボール』シリーズの10年超にわたる歴史をご紹介させていただく趣向となっております。よろしくおねがいしまーす!
さて(座椅子に座って)、まず最初にお伝えしたいのは、『ファイアボール』シリーズはキャラクターの見た目やタイトルに反して、1話2分程度の大変親しみやすい短編ギャグアニメーションであることです。「高密度インダストリアル・ギャグ短編アニメーション」を自称しており、登場するのは基本的にはロボット2体のみ。一見無機質ながら、ロボットらしいズレた感覚の素っ頓狂な会話を淡々と展開しては程々の笑いを生み出すスタイルを貫いております。
日本在住のクリエイターたちによって制作された日本語ならではの伝わりにくいネタの数々で、ショートコント感覚でお気軽にどのエピソードからご覧いただいても楽しんでいただくことのできる、夜寝る前にご覧いただいてはフフフと小さく笑って、翌日すっかり忘れていただける控えめな佇まいが特徴のシリーズ。それが『ファイアボール』となっております。そこには難解な設定も重厚なテーマも存在していません(存在していないはずでした)。
では、何故そのように小さなシリーズが10年以上も作られ続けられたのでしょうか。2008年から振り返ってみましょう!(後方へ首を捻り勢いあまって座椅子ごと転倒)
すべての作品が見放題
2008年『ファイアボール』
「それは、4万年を超える2分間」。記念すべき1作目です。全13話。ファイアボールの物語がここまで成長する前で、シンプルながらすでに多くの特徴的な要素が存在していますので、まずどれから見ようか迷われている皆様におかれましては、本作からお楽しみいただくのがオススメです。
あらすじ(制作開始時の企画書より)
これは、とても遠い未来のお話。世界は、ロボットたちに支配されています。でも、人間たちも、もういちど世界を自分たちのものにしたいので、ずいぶんと長い間、ロボットたちと人間たちとの戦争が続いています。どちらが悪者というわけではありません。ロボットも人間も、結構真面目に生活しています。その時代のロボットは、大昔の人間たちのように「貴族」という階級を名乗っていて、人間たちより高級で偉いと思っています。だから、難しい名前と立派なお城を持っています。
解説、あるいは芋煮会
シンプルなお屋敷の広間という限定された舞台で繰り広げられる、ロボット貴族(劇中では「ハイペリオン」と呼ばれています)である白くつややかな機体を持つドロッセルお嬢様(声・川庄美雪)と、彼女に忠誠を誓う建築機械のような巨大な執事・ゲデヒトニス(声・大川透)とのトボけた会話劇というスタイルは、すでに1作目で確立されています。
各エピソード90~110秒程度の映像は、どこから始まり、どこで終わるのか皆目見当もつかないトリッキーな構成で、同時に、1話完結のギャグアニメーションでありながら、その会話から時折ハミ出してくるお屋敷の外の世界の事情や、呆れるほど無駄に壮大なエンディング(それから愛らしい猿)は、笑っていいのかそうでないのか視聴者の皆様を大いに混乱させ、のちに「イモニ超人」と呼ばれるようになる一部の貴族の皆様より熱狂的に迎えられることとなりました(ありがとうございます!)。最初の数話を気に入っていただくことができた場合、是非とも最終話である第13話までお試しください。
荒川監督が当初提案したコンセプトは”Princess Story for Boys”というものでした。対称的な姿と性格を持つコンビを主人公に、ディズニーらしい要素を含むコメディであり、同時にアクション作品を彷彿とさせるSFアニメーションとして成立することが目指されました。ディズニー・チャンネルの番組と番組の間に放送される非常に小さな企画としてスタートしましたが、結果的に「日本初のディズニー・オリジナル・アニメーション」という荷が重すぎるトロフィーを獲得してしまい、当時の弊社ファイアボール班を大いに動揺させたことが昨日のように思い出されます(註・12年前)。
さらに、当初こそ社内では「何故そのような商品を作る必要があるのだ」というもっぱらの評価だった限定版DVDやドロッセルお嬢様の玩具もスタッフたちの想定を大きく超えるご支持をいただき、ふたたび大きな衝撃が走ることとなりました。
そんな岩田の動揺をご想像いただきながら、ディズニープラスの公式配信でお楽しみください。
2011年『ファイアボール チャーミング』
「機械と人は、もういちど夢をみる」。1作目のご好評を受けて制作可能となった2作目(以下『チャーミング』)。全13話。各話2分ジャストとなっています。続編ですが、物語としては1作目の前日譚が描かれます。
なお、ここまでの2作品では、各話冒頭に、この世界の年代表記である「メルクール暦」の字幕が登場し、時代の流れを確認することができますので「なるほど確かに前日譚なのだなあ」とご理解いただくことができるでしょうし、仮にご理解いただけたとしても少しも人生の役には立ちません。
あらすじ
前作とあまり変わりません。同じです。2009年11月18日(ミッキーマウスの誕生日!)に書かれた本作企画書の項目の1つには、「何がチャーミングなのか。より正確に言えば、何がチャーミングでないのか」と書かれていますので、本作ではそうしたことが描かれているはずです!ドロッセルお嬢様とゲデヒトニス(それから愛らしい猿)が屋敷の広間からビタ一文移動しなかった前作と比べて、より多くのキャラクターやガジェットが登場して、シリーズの中でも最も賑やかな作品となっています。
また、1作目で無責任にもバラ撒かれてそのまま放置された謎の数々を回収しながらも、何ひとつ解決せずさらに謎が深まってゆく点も本作の魅力と言えるかもしれません(言えないかもしれません)。
解説、あるいはちくわぶ
1作目最終話で思わぬ胸の熱くなるエンディングを迎えた、その続き(”外の世界”編)ではなく、前日譚を描くという点について、当時の監督の発言をまとめますと、「続編が1作目を超えることはない(註・当時)。前日譚とすることにより、今作が気に入らないファンの皆様も、今作を綺麗さっぱり忘れて1作目を好きでいてくれることが可能でしょう」という、説得力があるのか大変うしろ向きなのかよく分からない理由によるものでした。いずれにせよ、大いに手前勝手という点は疑いありません。
スタンダードサイズ(SD)で制作された1作目とは異なり、本作からはHD(16:9)サイズで制作され、制作規模も格段に大きくなりました。『チャーミング』制作当時はTV業界全体で高解像度化への移行期にあたり、スタッフたちはどこまで映像を作りこむ必要があるのか迷いながらの制作だったと聞いています。
その結果、シリーズ最大の膨大な設定画や、画面に殆ど映らないCGモデルが大量に生み出されました。これらの設定画の一部は、2012年に発売された数量限定生産BDボックス『ファイアボール チャーミング ちくわぶボックス』同梱のビジュアルブック「IMONI」に掲載されております。本作を視聴することは、それらの存在に対する供養とも言えそうですが、ご試聴される皆様におかれましては、そのような心温まるエピソードは一向に気にされる必要なく、ひきつづき気軽にお楽しみください!(ただし、ひきつづきの短編となっておりますので鑑賞中にコンビニへ行くと終了しています)
そのナンセンスな作り込みを、ディズニープラスの公式配信により大画面でお楽しみください。
さて。1作目と2作目では多くの要素それぞれが強く結びつき、物語の円環構造を作り出すことに成功しました(と、監督自身が目を逸らしながら述べています)。さらに、『チャーミング』終了後の2013年、舞浜にて実施された弊社イベント「D23 EXPO JAPAN 2013」において、キャストと監督が登壇する大変感傷的な上映イベント「イモニトロン・ナイト」なども実施され、ここで『ファイアボール』シリーズは終わった、と弊社ファイアボール班を含めて誰もが思ったのでした。ところが『チャーミング』の6年後、思わぬ事態を迎えます。
2017年『ファイアボール ユーモラス』
「いかにも、二度あることは三度ある」。6年の空白ののち突如発表された3作目(以下『ユーモラス』)。2017年、かつて存在していたBSチャンネル「Dlife」は開局5周年を迎えていました。そのイベント放送の一環として、数多くのハリウッドスターたちがアニバーサリーを祝うステーションID(アイキャッチ映像)を多数放送しました。その中で、5周年を祝うキャラクターの1人(より正確には2体)として、ドロッセルお嬢様とゲデヒトニスにも白羽の矢が立ったのです。
これらのステーションID(計20秒)と、チャンネルのプロモーション映像(45秒)のために、ドロッセルお嬢様とゲデヒトニスには全く新しいデザインが与えられました。シリーズごとに常に主人公たちのデザインを変更してきた『ファイアボール』シリーズらしい発想とも言えますが、あまりにも無駄遣いが過ぎたため、これらの映像と同時に、Dlife5周年期間で放送できるだけの数の新エピソードも制作されることとなりました。それが『ユーモラス』全3話となります。
解説、あるいはチミチャンガ
物語は、1作目の前日譚であった『チャーミング』より、さらに大きく古い時代へ舞台を移します。が、キャストとメインスタッフが『チャーミング』より続投して制作された本作の変わらぬ体温で脱力したギャグの数々は、郷愁とともにかつてのファンの皆様に歓迎されたようで、6年ぶりの制作ですっかり若さを失ったスタッフたちを大いに安心させることとなりました(ありがとうございます!)。ただし、同時に3話しか制作できずに申し訳がないという気持ちも強く、そのことへささやかな抵抗として各エピソードは2分30秒というシリーズ最長の尺となっています。
この全話見ても7分30秒という小品にもほどがある中で、特筆すべきは第3話(最終話)に登場する新キャラクターと言えるでしょう。これまでの物語を通して、視聴者の誰もがご存知で、同時に誰も見たことのないこのキャラクターは、スタッフたちの用意した最後のサプライズとなるはずでした。ところが、”彼”の存在はその意図を超えて、この時点では決定していなかった次の展開にも大きく影響を与える存在となるのでした。
おっとり刀で、そのキャラクターの勇姿をディズニープラスの公式配信でご確認ください。
2019年『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』
「石の上にも3年、畳の上でも築5年、何もしなくても10周年」。驚くべきことに、2018年4月に『ファイアボール』シリーズは10周年を迎えました。
10周年を記念した新作アニメーションの制作には時間が足りないが、フットワーク軽くキャラクターソングの1曲でも作らないかという提案が、弊社音楽チームよりファイアボール班へ投げられました。その提案をキャッチした監督は、何を思ったかキャラクターソングはもちろん、本編1シーズン分にも及ぶ尺の新作オーディオドラマや劇中企業のイメージソングの数々などを含む、大変フットワーク重い1枚のCDの企画書を書きあげたのでした。
解説、あるいは適度に湿ったカモノハシ
そのCDは『ファイアボール』シリーズ初の音響作品として『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』(以下『オモシロニクス』)と名付けられ、『ユーモラス』本編3話と前述したDlifeのプロモーション映像を収録したBDとのセット商品「ファイアボール10周年記念盤『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』」として、2019年1月にリリースされました。このセット商品は現在生産を終了しておりますが、CD音源が各音楽配信サービスで配信中です。
『オモシロニクス』には、当初の予定通りのドロッセルお嬢様とゲデヒトニスによるキャラクターソングや、過去3作品のサウンドトラックとともに、計20分を超える新作オーディオドラマ「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」が収録されています。
シリーズクリエイターである監督自身による作・演出のこのオーディオドラマは、ゲデヒトニスと”極めて近い存在”であるところの執事・ゲボイデ=ボイデ(声・神谷浩史)が、『ファイアボール』から『ユーモラス』まで、これまで10年間にわたり各シリーズで描かれた複数の時代を、極めて適当な理論のタイムトラベルにより小冒険する物語となっております。
ところが、困ったことに大方の予想を裏切るほどに「絵がないだけでほぼ本編」と呼べる内容に仕上がっており、ふたたび多くの視聴者の皆様を困惑させることとなりました。
さらに、これまでの10年間では決して描かれることのなかった『ファイアボール』1作目の”その後”の世界も描かれており、『ファイアボール』シリーズ全体を締めくくる大団円とも言える着地となっているのではないでしょうか(註・音だけです)。
全37曲50分という数撃てば当たる発想による収録内容を特設サイトにてご確認ください。
さて、ついに「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」では前へ向かって進む未来が示され、ドロッセル・フォン・フリューゲルとその執事ゲデヒトニスが紡ぎ出す、謂わば「フリューゲル・サーガ」は、さすがに名実ともにこれで完結しただろうと誰もが思ったのでした。ところが、さらに思わぬ事態を迎えます。
2020年『ゲボイデ=ボイデ』
「いじましく、ありふれた、はれぼったい未来」。弊社公式動画配信サービスであり、このページをご覧の皆様にはお馴染みディズニープラスですが、うっかり開始したこのサービスをファイアボール班は見逃しませんでした!その結果生まれたのが、シリーズ通算5作目となる本作『ゲボイデ=ボイデ』です。
解説、あるいは最終章
『オモシロニクス』のオーディオドラマで初登場したゲボイデ=ボイデを主役とした、『ファイアボール』シリーズ最終章。全10話。これまで積み上げられた、あの謎やこの謎がついに明かされる…はずもなさそうですが、現在、反響に怯えるスタッフたちは物陰で麩菓子を握って濡れた子犬のように震えながらも、「精神としてのファイアボールは完結した…はず…多分…」と、いささか頼りない自信を示しています。
ここまでご説明した全作をひと通りお楽しみいただいた皆様におかれましては何も問題ございません。今すぐ下記リンクをクリックいただき、『ゲボイデ=ボイデ』によってふたたびワンダーの方へ参りましょう。
あるいは、本作が『ファイアボール』シリーズ初めてのご視聴でも八割は問題ございません。分かったような分からないような(そもそも面白いのか面白くないのかすら分からないような)といった、至極ごもっともなご感想を抱かれることかと思われますが、それはどの作品からご覧になっても同様です。それが『ファイアボール』シリーズなのです!胸を張って断言することではありません!
さて、何故、最終章にいたってタイトルも主役も異なるのかという点に関しては、監督曰く「確かに、『ファイアボール外伝 ワンダーの方へ』により、『ユーモラス』によって再度だらしなく開いてしまった円環構造を閉じることは出来ました。ですが、そうした作り手の都合によってのみ生み出されたゲボイデ=ボイデという不幸なキャラクターを、物語で救済してあげる必要を感じたのです」という、律儀なのか単に諦めが悪いよく分からない理由によるものでした。いずれにせよ、大いにシツコイという点は疑いありません。
最後に、『ゲボイデ=ボイデ』について、私が最も気になっていた点を荒川監督に直撃しました。このインタビューをもちまして、本記事の締めくくりにしたいと思います。ディズニープラスの配信で、『ファイアボール』シリーズを楽しみましょう!フロイデ!ゲボイデ!(座椅子のまま走り去る)
Q: そもそも「ゲボイデ=ボイデ」とはどういう意味の名前ですか?
A: ドイツ語で「建築物」という意味です。タイトル自体は、これといって『酢昆布=昆布』でも構わなかったのですが、栄養価の高い作品だと認識されることは、ナンセンス動画にとって余り好ましいこととも思えなかったので、より食欲のそそられない無機質な単語を採用いたしました。食べてよし、出汁によし。ビバ昆布。…ええと、昆布に関する質問でしたっけ?
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